~対訳双書新刊のお知らせ:イタリアオペラ対訳双書38「修道女アンジェリカ:Suor Angelica」
2020年 10月 27日
~対訳双書新刊:2020年10月30日刊行のお知らせ~
イタリアオペラ対訳双書38
「修道女アンジェリカ:Suor Angelica」
作曲:ジャコモ・プッチーニ
台本:ジョヴァッキーノ・フォルツァーノ
【作品が出来るまで】
G.プッチーニは、1916年に「外套」を作曲し終え、これを「三部作」にしようと残る2作品の題材を探していました。その頃G.フォルツァーノが、オリジナル作品で17世紀末のイタリアのある修道院を舞台にした奇蹟の物語を舞台劇として書き始めていたのです。プッチーニは10歳から教会の聖歌隊の合唱に加わり、オルガンを弾き、宗教的な作曲も試み好評を博した経験があることから、神秘的で宗教的な雰囲気のあるこの台本に強く魅かれ、1916年の冬、フォルツァーノにオペラ化の提案をし、これが実現します。プッチーニの2歳年上の姉イジーニアは修道女で、彼女がルッカ近郊の修道院長になってからは、プッチーニは、しばしばそこを訪ね、女性が修道院に入るに至るにはそれぞれに止むに止まれぬ事情があることや、彼女たちが噂話に花を咲かせる日常生活の雰囲気を知り、それを作品に存分に取り入れました。
これより少し遅れてやはり台本はG.フォルツァーノの手になる三作目の「ジャンニ・スキッキ」を、1918年に完成しています。
当初、1918年4月末には完成した「三部作」をローマで上演しようという計画であったのですが、大戦のため多数の芸術家たちが軍務に服していたため実現できず、その後、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の申し出を受け、1918年12月14日に初演されました。これは休戦の調印が行われたばかりでプッチーニは初演に列席できず、自分の作品の初演に立ち会うことができなかったのは、プッチーニの生涯で初めてのことでした。