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イタリアオペラ翻訳家 とよしま 洋 のブログです。


by aula magna
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イタリア映画“Si può fare:やればできる”

イタリア映画“Si può fare:やればできる”を観ました。邦題は「人生ここにあり」です。
イタリアは、1998年12月で全ての精神病院をなくすという世界で初めての偉業を成し
遂げました。「自由こそ治療だ!」という精神科医バザリアの努力によって、病院に閉じ
込められ、人としての扱いを受けていなかった患者たちを一般社会で生活できるよう
地域に戻したのです。
そのときに起こった実話を基に作られたこの映画、涙も笑いも止まらず、こういうことが
“Si può fare:やればできる”とは衝撃でした。イタリア社会が人間の愛と尊厳をあくま
でも大切にしていることへの尊敬と憧れを強くし、日本の社会では考えられない、起こり
えない???と思える寂しさも押し寄せてきました。
イタリアでは「狂気」という意味の言葉「matto, pazzo」は日常頻繁に使われます。
日本では、放送の際、人間に「狂う」は使用できないので「怒り狂う」という訳を「非常に
怒る」に直すように指示され、驚いた経験があります。

映画の最後は次の言葉で締めくくられています。
“Oggi in Italia esistono oltre 2,500 cooperative sociali che danno
lavoro a quasi 30.000 soci diversamente abili.”
(現在、イタリアには2,500以上の協同組合があり、約3万人の異なる能力を持つ組合員
に働く場を提供しています。)

この映画はイタリアでは40万人を越える観客動員で異例の大ヒットとなり、54週という
超ロングランとなって、社会現象になるほど人々の関心を集めたとあります。
私はこの映画に出会えて良かった、是非みなさんも観てください。
http://jinsei-koko.com/

ジャーナリストの大熊一夫氏が「精神病院を捨てたイタリア、捨てない日本」(2009年
岩波書店)という著書を出しておられるということも付け加えておきます。
Commented by oliva16 at 2011-08-05 21:46
前から気になっていたこの映画、今日観てきました。とても話題になっているようで、1回目を目指して言ったら立ち見と言われたので2回目を観ました。本当に涙も笑いも止まらない映画でしたね。日本では「精神病」の人と接する機会自体なく、あまりに現実を知らないので、イタリアのようにすべきだろうとか安易には言えませんし、日本では無理なのかどうかも分かりませんが…。ずっと昔、食事の時に違うお皿を取るたびに「卵焼き、いただきます」「ごはん、いただきます」…とその都度食べ物の名前と「いただきます」を繰り返している叔父がいました。今から思えば精神を患っていたらしいのですが、子供の私は「ずいぶん丁寧な人だな」と感心し、「『いただきます』のおじさん」と呼んでいました。何の壁も作らずに接していられた子供の自分、今では色々な壁を自ら作ってしまっているな……と、久しぶりに思い出しました。
Commented by aula-magna at 2011-08-05 23:08
立ち見になるほど混んでいたとは!!!!! 
人それぞれの生き方を尊重して生活すれば、偏見や壁もなくなってゆくのでしょうね。心から安心して人と接することのできる社会であって欲しいです。
by aula-magna | 2011-08-01 23:48 | Trackback | Comments(2)