イタリアオペラ翻訳家 とよしま よう のブログです。


by aula magna
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カテゴリ:・花と木々とイタリアオペラ( 3 )

「Le Villi(妖精達)」
第一幕 第二景のアンナのアリア
転がり込んだ遺産を受け取るために、遠い旅に出発する恋人ロベルトとの別れを悲しんで、
アンナは忘れな草の花束を、ロベルトの旅行カバンにそっと忍ばせる場面です。

アンナ
(ひとり、忘れな草の花束を手にして)

ああ、可愛い花よ、もし私が
お前たちのように小さく可愛い花なら
いつもいつも、あの人の傍にいられるでしょう。
そして、あの人に言うでしょう、
「私、いつもあなたを思っているの!」と。

さらにあの人にこう言うの、
「私を忘れないでね!」
お前たちは私よりもずっと幸せね。
あの人について行くのですもの
谷から谷へ、丘から丘へ
私のあの人について行くのですもの...
ああ、もし、お前たちの名前が(注)
偽りのものでないなら、
私の愛する人に繰り返しておくれ、
「私を忘れないでね!」と。
(ロベルトの旅行カバンの中に、花束を入れに行く。)

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(注)お前たちの名前
アンナが手にしている花束は
忘れな草、その名をイタリア語では
Nontiscordardime と言う。
これは、Non ti scordar di me!
「私を忘れないで !」 と言う意味である。

名前の由来は、中世ドイツの悲恋伝説
ある日、若い騎士ルドルフが、恋人ベルタとドナウ川のほとりを散策していると、岸辺に咲く美しいこの花を見つけます。ルドルフはベルタのためにその花を摘もうと岸を降りていきましたが、誤って川の流れに飲まれてしまいます。ルドルフは最後の力をふりしぼり、摘んだ花を岸に投げベルタに「Vergiss-mein-nicht!(私を忘れないで)」という言葉を残して死んでしまいます。
残されたベルタは、亡きルドルフの思い出としてこの花をいつまでも身につけていたことから、この花は「私を忘れないで」と呼ばれるようになったと伝えられています。

こちらも読んでください。
『妖精ヴィッリ』と『カヴァレリア・ルスティカーナ』
http://aulamagna.exblog.jp/24303477/
by aula-magna | 2017-09-06 10:32 | ・花と木々とイタリアオペラ | Trackback | Comments(0)

宿り木と「ノルマ」

2017年元旦
ラリック美術館の敷地内をエントランスまでゆっくり歩いていると、足元に「ヤドリギの下でキスをすると幸せになる」という説明つきの印を見つけ、見上げると、樹木が落葉していたので、枝の上に団塊状の株の形をした宿り木が幾つも見えました。

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話には聞いていても実際に目にしたのはこれが初めて、なんと不思議な植物なのだろう??と思いながら、古代ケルト族の神官ドゥルイドによれば、宿り木は神聖な植物であるとするオペラ「ノルマ」の一場面が、より鮮明になりました。

【ノルマ:第一幕・第四景】
ドゥルイド達:神のお告げは?どんな運命なのか話してください。
ノルマ   :運命のときが成就するのを待ち、平和を保つのだ... 
        私は聖なる宿り木(il sacro vischio) を刈り取ろう。
(ノルマは宿り木を刈り取り、巫女たちがそれを籠に拾い集める。)

アリア<Casta Diva>
        清き女神よ、これらの聖なる老木を
        銀色に照らし出す貴女よ
        雲や霞に隠れることなく
        その美しい姿を我々に見せてください。。。



by aula-magna | 2017-01-04 02:26 | ・花と木々とイタリアオペラ | Trackback | Comments(0)

バーベナの香りの妻よ

蝶々さんがスズキに、ピンカートンに《バーベナの香りの可愛い妻》と
呼ばれていたと語る場面に興味をもって以来、バーベナの花を育てています。
今年はたくさん咲きました。
でも残念なことに、バーベナにはほとんど香りはありません。

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蝶々夫人Madama Butterfly 第2幕〈ある晴れた日〉から
.........
al primo incontro, ed egli alquanto in pena
chiamerà chiamerà:               
《Piccina mogliettina
olezzo di verbena》,
i nomi che mi dava al suo venire.........

お戻りになったら
あの方は胸を詰まらせてこう呼ぶの
《可愛い妻、バーベナの香りの妻よ》
これはね、あの方が初めていらしたとき
私につけた名前なのよ。
by aula-magna | 2013-05-02 11:56 | ・花と木々とイタリアオペラ | Trackback | Comments(4)